テープ起こし(文字起こし)を行う際、文字に起こした文章を読みやすくするのに欠かせないのが「ケバ取り」作業です。起こし方のコツを習得するうえで必須のものと言ってもいいでしょう。
そこで本記事では、プロのテープ起こし業者やライターも行う「ケバ取り」とはどのようなものか、対象となる例も含めて専門業者の佐藤編集事務所が説明いたします。
テープ起こしの品質向上にケバ取りが役立つ
目次
なぜ、ケバ取りが必要なのか
話し言葉にはケバが多い
テープ起こし(文字起こし)した文章は、書き手がゼロから作成した文章と大きく異なる特徴があります。それは、話し言葉を聞き取り、文字(文章)へと書き起こしているという点です。
内容にもよりますが、話し言葉と書き言葉は似て非なるもので、大抵、人が自由に話した内容というのは文脈が乱れていたり、無駄な部分が多かったりするものです。
不思議なもので、人の話というのは耳で聞いていると、さほど違和感をおぼえないものです。ところが、話を文字に起こして読んでみると、結構、無駄な言葉や声が含まれていたりします。こうした話の内容と明らかに関係がなく、意味もない言葉や声を「ケバ」と言います。
ケバの例としては、発話の頭や会話中につい出てしまう「あー」「えー」などの間投詞やフィラーのほか、言葉を噛んだり、過剰に相槌を打ったりするのも含まれます。
ケバ取りして読みやすい文章に
このようなケバは通常、テープ起こししながら取り除いていきます。「ケバ」を「取る」ので、この作業は「ケバ 取り」と呼ばれます。「けば取り」「毛羽取り」と表記していることもあります。
話の内容自体が意味不明なのはどうしようもありませんが、無駄を取り除くケバ取りを行うことで、テープ起こしした文章は一段と読みやすくなります。
ケバやケバ取りの正確な定義はないようですが、プロのテープ起こし業者も行っている作業になります。
ケバ取りは必須の作業
テープ起こし(文字起こし)の対象となる録音音声を聞いてみると、話し方の上手下手には個人差がありますし、話の内容や、話し手の立場、場所、相手などのシチュエーションによっても、音声中のケバの多寡は変わってきます。
普段は流暢に話される方が、大勢の聴衆を前に話したら噛みまくり、言い間違え頻発だった、なんてことはよくあることですよね。
多かれ少なかれ、ケバはどんな話にもあるのが普通です。アナウンサーがニュース原稿を読んでいるような、ケバがほとんど皆無の音声はむしろレアなケースです。ですから、テープ起こしにおいてケバ取りは必須の作業といっても過言ではないでょう。
ケバ取りにはこんなメリットも
ケバ取りは作業効率アップにも役立つ
ご自身でテープ起こし(文字起こし)される際、一字一句正確に起こしていると、非常に手間も時間もかかってしまうものです。そこで、ケバ取りをすることで、テープ起こしの作業自体もスピードアップすることができます。いい意味での手抜きですね。
また、音声内容やテープ起こしの目的によっては、それほど正確に起こす必要がない場合もよくあります。
たとえば、社内の業務でテープ起こしを行う場合などは、おおよその内容があっていればOKで、それよりスピード重視ということもあるでしょう。こんなときは、どんどんケバ取りしていきます。
もちろん、逆に丁寧に文字化しないといけないこともあります。そこで、そのときの状況や目的に応じて、どれくらいケバ取りするかを調節します。このあたりの匙加減は、テープ起こしにおけるコツのひとつといえます。
ケバ取りの対象となる具体例
参考までに、どんなときにケバ取りを行うかを下記に挙げてみます。これ以外にも、ご自身で不要と思われた箇所はケバ取りして構いません。
ケバ取りの具体例
- 「あー」「えーと」など、意味を持たない声や言い淀み(間投詞・フィラー)。
- 「はいはいはい…」「うんうんうん…」など、過剰な相槌、無意味な繰り返し。
- 「や、やっぱり」など、吃音、つっかえ、言葉の噛み。
- 「7日、いや8日」など、明らかな言い間違え、とちり。
- 「ですねー」など、語尾伸ばし。
- 「やっぱり明日は、やっぱり雨だと、やっぱり思います」など、頻出する口癖。
などが、ケバ取りの対象になります。
どこまでケバ取りするかの判断
実際には、専門のテープ起こし業者や、作業するプロのライターであっても、どの箇所をどこまでケバ取りするかの判断は、人によって若干変わってきます。
話者の感情、録音時の雰囲気、自由発話ならではのニュアンスを伝えるために、あえてケバ取りを少なくしたりする場合もあります。
また、テープ起こしの依頼内容には、会話中の倒置を直したり、語尾を「ですます調」「である調」に統一してほしいというリクエストもよくあります。
このあたりは業者によって考え方がいろいろあり、ケバ取りの一環として行うところもあれば、整文として対応しているところもあります。これは、ケバ取りと整文の境界を明確に線引きするのが難しいためです。
あえてケバ取りしない逐語起こし
テープ起こし(文字起こし)した文書を、会話分析などの研究目的に使用する場合や、あるいは裁判証拠とするときなど、あえてケバ取りせずに一字一句正確に文字化することもあります。
この起こし方は「逐語起こし」あるいは「逐語記録」「素起こし」などと呼ばれます。
逐語起こしした文章はどうしても読みづらくはなりますが、研究や裁判など目的によっては、読みやすさより正確さが優先されることもあります。
佐藤編集事務所でも、逐語起こしを承っております。ご依頼される場合は、テープ起こしお申込みフォームの「標準コース」をお選びいただき、メッセージ欄に「逐語起こし希望」と明記ください。標準コースであっても、逐語起こしをご希望の場合はケバ取りを行いません。
佐藤編集事務所のテープ起こし・文字起こしについて
私どもテープ起こし・文字起こしの佐藤編集事務所は、ケバ取り、逐語起こし、リライト(整文)など、お客様が希望される起こし方に合わせて音声文字化を行う専門業者になります。
音声の文字化や起こし方に関してご希望やご相談がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
佐藤編集事務所のテープ起こしサービスについて、サイト内でくわしく説明しております。以下のページからご覧いただけます。
また、今すぐに当事務所へテープ起こし(文字起こし)を発注または無料見積りをご依頼されたい方は、本ページの下記に掲載のご案内をご覧ください。お申込みフォームへのリンクボタンも設置してありますので、すぐにお申込みすることができます。
まとめ
テープ起こし・文字起こしにおけるケバ取りとは、話の内容と関係ない無意味な言葉や声・ノイズを取り除くことをいいます。「あー」「えーと」などの間投詞や言い間違え、言い淀み、過剰な相槌などがケバ取りの対象になります。
テープ起こし・文字起こしの対象となる音声は、会話など話し言葉(口語)が多いため、そのまま文字にすると読みにくいという特徴があります。そこで、ケバ取りすることにより、起こした文章が読みやすくなるというメリットがあります。また、あえてケバ取りしない起こし方もあり、逐語起こし(逐語記録、素起こし)といいます。
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