録音音声を文字に変換するテープ起こし・文字起こし。ご自身で行ったことのある方なら実感されていると思いますが、非常に手間も時間もかかる作業です。そこで、効率よくテープ起こし(文字起こし)を行うためのコツ・やり方を、専門業者の佐藤編集事務所が情報提供いたします。
文字起こしのやり方を覚えて作業効率をアップ!
目次
作業の能率が上がる環境をつくろう
テープ起こし・文字起こしにかかる所要時間は?
テープ起こし(文字起こし)はおもにパソコンで録音音声を再生して聴きながら、文字変換して入力していく作業になります。
対象となる音声は録音時間が短いものから長いものまで様々ですが、1本あたり1~2時間ぐらいが多いです。音声1本だけのこともあれば、1つの案件で数本から数十本になることもあります。
1時間の音声を文字に起こすとすると、作業時間は5~7時間はかかります。音声内容が平易で、ネット検索などで言葉を調べたりすることも少なく、話す速度もゆっくりで聞き取りやすければ、4~5時間ぐらいでできることもあります。逆に、難しい案件ですと7時間以上かかってしまいます。
音声によって作業時間に長短はあるとはいえ、テープ起こし(文字起こし)は録音時間の何倍もの作業時間がかかるということです。
入力作業による身体への負担を少なくする
パソコンに向かって5~7時間、場合によってはそれ以上の時間を、ただひたすら文字入力するというのは、データ入力のプロであっても、かなり身体に負担のかかる作業です。
首や肩のコリ、眼精疲労、なかには手首の腱鞘炎などに悩まされている方もいます。そこで、テープ起こし(文字起こし)作業による疲労をできる限り軽減して、作業能率が落ちにくい環境を作ることが大切です。
パソコン画面の見やすさ、キーボードの使いやすさ、身体に負担がかからないように机・椅子の調整、入力するときの姿勢など、細かいチェックを行いましょう。
疲れる前に休むのがデータ入力のコツ
また、気づかないうちに疲れをため込まないように、こまめに休憩をとることも大切です。
だいたい、キーボードを打ち続けてデータ入力を行う仕事の場合、初心者はついつい頑張って心身の限界近くまで作業してしまいがちです。また、スポーツのように肉体を激しく動かすわけではないので、自分が疲れていること自体に気づくのが遅くなります。
疲れ果ててから休憩をとる方も多いですが、それだと身体の不調が解消されずに蓄積してしまうので、疲れが溜まる前に休むのがコツといえます。
音声再生に関するコツ-専用ソフトを使うと便利
使いやすいテープ起こし専用のソフトを選ぶ
テープ起こし(文字起こし)をするときは、録音音声を聴くために音声再生ソフトを使用します。テープ起こし(文字起こし)に使用可能な音声再生ソフト自体は、数多くあります。
しかし、音楽を聴くことに特化した音楽プレーヤーと言われるようなソフトは、音はいいですが、人の話を聞いて文字に起こす作業には向いていないことも多いです。
ですから、音声再生ソフトを選ぶときは、テープ起こし(文字起こし)に役立つ機能が使えるかチェックが必要です。ソフト選びも、テープ起こし(文字起こし)の作業効率アップに欠かせないコツのひとつといえます。
「okoshiyas2」や「テープ起こしプレーヤー」がおすすめ
では、音声再生ソフトには、具体的にどんな機能があればいいのでしょうか。まず1つは、再生や巻き戻しの操作をキーボード上でできるソフトがいいです。
テープ起こし(文字起こし)は音声を聞きながら、同時進行で文字入力していきます。ですから、音声再生ソフトを操作するたびに、キーボードから手を放してマウスを使うのでは作業効率が落ちてしまいますし、結構ストレスになります。
もう1つは、音声再生を停止した際に、自動的に数秒ほど巻き戻しされる機能があることです。テープ起こし(文字起こし)の経験が無い方はピンと来ないかもしれませんが、この機能は実際に作業してみると、なかなか気の利いた機能であることがわかることでしょう。
実際、プロのテープ起こしライターにもよく使われているソフトは、いくつかあります。
そのなかで、新しいソフトではないですが、使いやすく人気がある音声再生ソフトに「Okoshiyasu2」(おこしやす2)があります。ほかにも、これも無料で使用できる「テープ起こしプレーヤー」などがあります。この2つはフリーソフトで、インターネット上からダウンロードできます。
このほかにも、テープ起こし(文字起こし)用に開発された音声再生ソフトはありますので、ご自身で使い勝手のいいソフトを探して試されるとようでしょう。
ICレコーダーから直接音声を聴いて作業するのはNG
録音に使うICレコーダー(ボイスレコーダー)の機器本体にもスピーカーが付いていたり、イヤホンと接続できます。ですから、ICレコーダー(ボイスレコーダー)から直接音声を聴きながら、テープ起こし(文字起こし)を行うこともできます。しかし、この方法はおすすめはしません。
機器を操作するたびにテープ起こし(文字起こし)の作業が止まり不効率ですし、作業時間もかかってしまいます。当然ながらストレスも溜まります。
また、音声データを誤って消去してましうような操作ミスもあり得ますし、再生や停止で頻繁に機器のボタン操作をしますから故障の原因にもなります。
効率アップのコツ-聞き取り不明箇所への対応
タイムスタンプを記して後で聞き直す
テープ起こし(文字起こし)で録音音声を聴いてテキスト化するときに、特に初心者が覚えておくとよいコツをご紹介します。
テープ起こし(文字起こし)の作業を始めると、聞き取りにくい言葉や意味不明な言葉が出てくることがあります。そのようなときは、わからない箇所にあまりこだわりすぎないほうがよいです。
その言葉がわからないと先に進めないような重要な言葉は別ですが、わからなくてもあまり影響のない言葉は、とりあえず伏字にしておきます。
その際に、伏字の後に録音音声のタイムスタンプ(時刻印)を記入しておきます。そして、作業が一通り終わった後に、あらためて音声を聞いて不明箇所を調べていきます。
ちなみに、伏字には「●」や「〓」が使われることが多いです。「〇」や「×」や「・・・」などでもいいですが、伏字なのか記号なのか区別がつきにくいものは使わないほうが無難でしょう。
起こし始めたら作業を止めないのがコツ
テープ起こし(文字起こし)の作業中、不明箇所にこだわりすぎないで、伏字にしておくほうがよいと前述しました。その理由は、長時間におよぶテープ起こし(文字起こし)作業で不明箇所が出るたびに止まっていると、いつまでたっても先に進まないからです。
特に、わからない言葉をインターネット検索するときは、深く追い過ぎるとキリがないので、適当なところで切り上げて文字を起こす作業に戻ったほうがよいでしょう。
特にテープ起こし(文字起こし)初心者の方、あるいは完璧主義で細かい箇所をいい加減にできない性格の方は、「とりあえず先に進める」「作業を止めるな!」という意識をもって行うのがコツになります。
起こし方のコツ-不要箇所を「ケバ取り」する
テープ起こし音声の特徴は「話し言葉」であること
テープ起こし(文字起こし)の対象となる音声は、話し言葉なります。この話し言葉というのは、耳で聴いているとあまり感じなくても、文字化してみると無駄な部分が多いことがわかります。
例えば、話しはじめの「えー」「あー」などや、言い間違え、言葉の噛み、言い淀み、ため息、頷き、口癖などがあります。話者にもよりますが、こうした話の内容と関係ない無駄な部分をすべて文字化すると、非常に読みにくくなってしまいます。
ケバ取りで起こした文章を読みやすくする
そこで、こうした無駄な部分を取り除いてテープ起こし(文字起こし)をするのが、一般的な起こし方になります。この無駄な箇所を取り除きながら、起こした文章を読みやすくすることを「ケバ取り」といいます。
ケバ取りをすることで、不要箇所が減って読みやすくなりますし、1字1句正確に起こすのよりも、作業自体も少しですがスピードアップします。ケバ取りは、テープ起こし(文字起こし)における大切なコツといってよいでしょう。
文字入力のコツ-単語登録を活用する
テープ起こしは頻出する単語が偏る傾向がある
テープ起こし(文字起こし)の対象となる録音音声は、講演、インタビュー、対談、会議などさまざまですが、いずれにしても何らかのテーマや分野に関係する内容がほとんどです。
テーマや分野が決まっているということは、話に出てくる言葉のなかには、よく出てくる言葉(単語)が必ずあるものです。
たとえば、ある疾患に関する講演でしたら、特定の医薬品名や治療の名称、体の部位などが頻出することが考えられます。あるいは、プロ野球の監督へのインタビューでしたら、野球用語や特定の球団名・選手名などがよく出てくることもあるでしょう。
意外と使っていない単語登録
そこで、テープ起こし(文字起こし)をしながら、頻出する言葉は単語登録(辞書登録)をしておくと便利です。特に長くて覚えにくい固有名詞は、その都度入力するのは面倒ですから、単語登録をおすすめします。
普段から単語登録を使っている方も多いと思いますが、知っていても今まで利用したことがなかったという方もおられるでしょう。ぜひ、この機会にご利用ください。
単語登録の仕方は、Wordなどご使用の文書作成ソフトによって異なりますが、一度覚えてしまえば、登録のやり方自体はどれも簡単だと思います。
話者聞き分けのコツ-人数と特徴を把握する
会議などのテープ起こしに役立つコツ
テープ起こし(文字起こし)において難しい作業の一つが、会議など複数人の話者が登場する場合、それぞれを聞き分けることです。話者の聞き分けのコツは、こうすれば絶対に大丈夫という解決法はありませんが、少しでも精度を上げるためのコツはあります。
まずは基本的なことですが、自分で録音に立ち会っていなければ、登場する話者の人数と、できれば肩書や性別などを調べておくことです。
最初から男性3名と女性2名などとわかっているのと、どんな人が何人出てくるのかわからないのでは、聞き分けの難しさが違ってきます。
次に、テープ起こし(文字起こし)で音声を聞きながら、各話者の特徴と登場したときの時間(タイムスタンプ)をメモしておくことです。
話者の特徴とは、声や話し方の特徴もあれば、性別・年齢・肩書など話者のプロフィール上の特徴もあります。また、登場したときの時間をメモしておくと、後で話者の判別が混乱してきたときに、聞き直して確認することができます。
自分の記憶だけで話者の聞き分けをやろうとすると、 テープ起こし(文字起こし)中に混乱してきてわからなくなりやすいです。テープ起こし(文字起こし)をされている方から、話者の判別が難しいという話はよく聞きますが、記憶だけに頼って何の工夫もしていない方が意外と多いものです。
話者特定を確実に行う方法
そして聞き分けのコツではありませんが、もう一つ、自身(自社)で録音する場合でしたら、とても効果的な方法をご紹介します。
その方法とは、司会役の方が発言者を指名する、あるいは各発言者が発言する前に自分の名前を名乗るという方法です。「なーんだ、当たり前じゃないか」と言われそうですが、じつはこれが一番確実な方法になります。
司会がいなかったり、自由に発言するような会議や座談会ですと難しいですが、もし可能であれば録音時に司会や各発言者がほんの少し気を付けることで、話者の聞き分け問題は解決できます。
また、話者の聞き分けについては、以下の記事でくわしく説明していますので、ご参照ください。
専門業者への外注もご検討ください
以上、テープ起こし(文字起こし)のコツについて、実践的な方法をご紹介しました。ご自身で音声からテキスト化を行う際に、ご参考になさってください。
また、自分あるいは自社でテープ起こし(文字起こし)を行うのは大変だ、そんな時間も取れないという場合は、専門業者にご依頼されることをおすすめします。
私どもテープ起こし・文字起こし専門の佐藤編集事務所も、30年以上の実績がある業者になります。全国の大学・企業・各種団体・個人事業主・研究者・編集者などから、音声文字化のご依頼をお受けしております。
佐藤編集事務所のテープ起こし(文字起こし)サービスについては、依頼方法や料金などをサイト内でご案内しておりますので、発注を検討される場合はぜひご覧ください。
なお、本ページを下方へ移動していただきますと、当事務所へのテープ起こし依頼・見積りの方法をご案内しております。こちらからもお申込みできますので、お急ぎの方はご参照いただけますよう、お願いいたします。
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テープ起こし・文字起こしにおいて、文字化の精度を高めるのに役立つコツや方法に関する記事をご案内します。本記事と合わせてご参照ください。